1日1個 虚無虚無プリン 1/5

今日は本来なら地元の成人式のはずだった。地元といっても小6から中3までのたった4年間住んだだけで、高校から寮生活を始めたので長期休みに帰省する程度、去年の2月以来帰省すらしていなかった。それでもその町のことを「地元」と呼んでいる。友人たちや町の人々も好きだし景色や空気感も好きだ。何も無い町だが、愛着はちゃんと抱いている。

 

最近は地元とはめっきり疎遠になった。当たり前だが高校生で1人遠くで寮生活を始めてから何となくコミュニティから置いてかれた感はあるし、去年は海外に行ったりした関係で帰省のタイミングがズレたので地元の友人とはしばらく会っていない。父親の仕事の関係で来年には家族ごと地元を出ることになるだろうし、これからより疎遠になっていくだろう。もちろん今でも地元のことは変わらず大好きだし友人とも再会したいのだが、何となく自分の中で地元の優先順位が下がってきている感覚があるのがなんだか寂しい。

 

今日は重い腰を上げて今年初の対面授業に出席し、帰宅後は別に馬券を買っている訳でもないのに競馬中継を見ながらどうでもいい授業を受ける。それからテスト勉強をすれば良いのだが3行だけ文字を書いた後すぐに飽き、何をするでもなく時間を消していく。今日も僕は無しか産まない。

 

夕食は珍しく餅だった。成人式が無くなり、帰省もできなかった僕を可哀想に思った大学の友人の親が僕に餅を渡してくれたのだ。正月になると当たり前のように餅を食べたくなるのだが、あの食べ物を食べるには意外とお金が必要なのでひとり暮らしを始めてからはめっきり食べなくなった。そんな矢先の餅、しかも友人の親の優しさが詰まった餅だから幸せの絶頂に決まっている。ココカラファインでチーズと海苔を書い、レンジで温めて餅を頬張る。美味い。米本来の味が美味い。米本来の味には友人の親の温かさが感じられる。別に地元が米どころとかそういうわけではないが、なんだか懐かしい気持ちになった。8切れ貰ったのだが、1食で全て食べきってしまった。こんなに幸せな1人夕食は久々だった気がする。

 

そんな時間も束の間、すぐに僕は虚無タイムに突入する。振り返ってみると何をして時間を過ごしていたのか本当にわからない。時間だけが消えていく。溶かした時間は帰ってこないことはわかっているのに。