かつて 1/9

今日も午前中は無かったことになり、僕の1日は正午あたりから始まる。まだ残りっているテストに思いを馳せつつ、まずはレポートをちゃんと1本書き終える。偉いぞ自分。これで最低でも2単位は貰えることが確定したので一安心だ。しかし1つのことを終えてしまうと他のことに向き合う気力が無くなるタイプの人間なのであんなに思いを馳せていたはずのテスト勉強は全く進まない。思いの強さと努力の量は決して比例しないらしい。

 

ダラダラとテスト勉強をしていると、バイトに向かう時間になった。こういう状況なので客も適度に少なく、働き心地が良かった。閉店時間も早まったので先輩に色々教わるのだが、まあ僕は要領が悪い。もう何回もやっているはずのビールサーバーの洗浄の手順は未だに間違うし、手先が絶望的に不器用なので誰もが当たり前にできるようなことも僕にはできない。先輩がすごく優しい人ばかりなので何とか続けていけているが、仕事内容は正直向いていない。いつかちゃんと仕事をできるようになる日は来るのだろうか。

 

優しさにも種類がある。どこまでも温かいタイプの優しい人もいれば、僕のようなダメなやつにはあえて厳しくいくふりをして場を和ませるタイプの優しい人もいる。今日の先輩は後者のタイプだった。何回も同じミスをする僕を「ほんと馬鹿だなぁ」「ぶきっちょだなぁ」と文字通り馬鹿にしてくる。文面だけ見るとトゲがあるように聞こえるかもしれないが、いつだって目が温かい。おかげで僕は自分を過度に責めたりすることなく、自分のミスも笑いに変えながら働くことができている。まあこの段階からそろそろ抜け出さないといけないのだが。いい後輩でいることは簡単だし楽だ。

 

「今日も何もできなかったなぁ」と思いながら家に帰り、YouTubeを見る。土曜日はさらば青春の光白石麻衣YouTubeを更新してくれるので僕にとっては天国のような日だ。そんな中、Creepy Nutsも1本動画を上げていた。この間行われた武道館ライブの「かつて天才だった俺たちへ」の動画だ。細かいニュアンスは曲を聞いてもらうとわかるのだが、この曲は「自分の可能性を諦めるな」という曲だ。実際に全てを投げ出して夢を追い、夢を掴んだ人たちの曲だから説得力がある。R指定さんの気持ちのこもった言葉の一つ一つと松永さんの涙が全てを表す。すごく心を打たれた。

 

この感動が僕をさして興味のない勉強をするためのモチベーションになるとは到底思えない。だけどやりたいことを死にものぐるいでやることはきっと大事だ。僕の腐りかけた心に当たり前を思い出させてくれた。