あーあ 1/19

あーあ。せっかく日記を書くと決めたというのに1ヶ月も経たないうちに飽きてしまったみたいだ。ここ3日間は部屋の片付け以外何をしていただろうか。そうだ、一昨日の昼はバイトに入り、激暇楽金稼ぎタイムだと思っていたら緊急事態宣言を知らない人々がランチに駆け込んで来て思いがけぬ多忙に見舞われた。昨日の記憶は本当にない。部屋の片付け以外は何もしていなかったのだろう。

 

今日も僕の朝はのんびりと始まる。2時間ほど、寝ているのか起きているのかわからない時間を過ごした後、AbemaTVでしくじり先生を見ながらカップカレーうどんをすする。僕もしくじらないようにしないと、と教訓を得たので「何かしないと」と駆られ、ニトリに自転車を走らせる。

 

「大理石風フロアマット」みたいな名前のものを買い、床に敷き詰めていく。塵まみれのカーペットの上を無機質なフロアマットで侵略していく快感は筆舌に尽くし難い。部屋の雰囲気を一変させることができ、この作戦は大成功に終わった。6畳一間、収納無しの東京とは思えない家賃の安さを誇る僕の家も、あらゆるものを端に追いやり中央にスペースを作ればそれなりに居心地のいい空間ができあがる。

 

この機会に、あらゆるものを断捨離することにした。高校時代に買ったセンスの悪い服たちから2年近く自炊(笑)をしていた遺産である汚れまみれの食器を全て捨ててやった。だいたい、食器など丼と鍋と小皿1枚と箸とスプーンとコップ1つさえあれば十分である。

 

洗うことを放棄されたかわいそうな食器たちは全て燃えないゴミのオレンジ色の袋に詰め込まれてしまったので、100円ショップで丼と箸とマグカップだけ買うことにした。大きすぎないプラスチック製の丼とオーソドックスな木製の箸と赤いプラスチック製のマグカップを手に入れた。

 

6時からは友人と焼肉食べ放題に行った。ここも緊急事態宣言を知らない人々で埋め尽くされており店員さんには思わず同情してしまったのだが、申し訳ないがたらふく食べさせてもらった。友人に引かれるほど肉と米をかき込んだ。質の悪い肉でも美味しいと感じるようになったことで自分の舌の質の低下を実感したが、自分が美味しいと感じればそれでいい。

 

家に帰り、妙にスッキリした家に驚かされる。足下は服で埋め尽くされていないしあちらこちらにペットボトルや使用済みティッシュが転がったりしていることもない。なんて居心地のいい空間なんだろう。思わず文化的なことがしたくなったので久々に読書(芸人さんのエッセイ)に勤しむことにした。

 

いくらすっきりしたとはいえ、ここは築35年の古アパート、部屋は冷えきってしまう。早速、100円で手に入れた赤いマグカップの出番だ。お湯を沸かし、スティックカフェオレを2杯飲んだ後、実家から仕送りで送られてきたほうじ茶の控えめな佇まいに思わず目を奪われた。賞味期限を見てみると2020年3月10日。だが彼を見放すことは僕にはできなかった。ティーパックを赤いマグカップに入れ、お湯を注ぐ。

 

一口飲んで気づいたのだが、味がわからない。人は情報の7割だか8割だか9割を視覚から得るとどこかで聞いたことがあるが、どうやらその通りらしい。控えめなほうじ茶くんの色は赤いマグカップに負け、「ほうじ茶感」が消え失せてしまった。白湯飲んでいるような感覚だった。

 

だが、慣れてくると味が次第にわかってくる。お前あれだな、最初はどんなやつかわからないけどだんだん味が出てくるオードリー若林さんタイプの奴だな。めちゃくちゃ好みじゃん。